2026.09.25(金)創業融資コラム
会社設立前に準備しておきたいこと5つ|開業後に慌てないための準備を税理士が解説
「会社を設立して独立したい」
そう考え始めたとき、まず会社名や法人登記のことを調べる方は多いのではないでしょうか。
しかし、会社設立はあくまで「事業を始めるための手続き」の一つです。
実際には、
- どんな事業をするのか
- 誰を顧客にするのか
- いくら必要なのか
- 自己資金はいくら用意するのか
- 創業融資を利用するのか
- 開業後、毎月いくらのお金が必要になるのか
といったことを、会社設立前から整理しておくことが大切です。
特に創業融資を検討している場合、会社設立や設備投資を先に進めてしまうと、資金計画を見直しにくくなることがあります。
今回は、これから会社を設立して開業する方に向けて、会社設立前に準備しておきたい5つのポイントを税理士が解説します。
会社設立前の準備が重要な理由
会社を設立すること自体は、必要な手続きを進めればできます。
しかし、会社を設立したからといって、事業が安定するわけではありません。
むしろ重要なのは、会社設立後にどのように事業を運営していくかです。
日本政策金融公庫も、創業前の段階で事業の目的や経験、資金計画、収支計画などを検討することを案内しています。
創業計画書でも、
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取扱商品・サービス
- 取引先
- 必要な資金と調達方法
- 売上や経費などの収支計画
といった内容を整理することになります。
つまり、創業融資を利用するかどうかにかかわらず、開業前に事業とお金の計画を整理しておくことは非常に重要です。
会社設立前に準備しておきたい5つのこと
1.事業内容と創業の目的を整理する
まず整理したいのが、「何のために事業を始めるのか」ということです。
例えば、
- これまでの経験を活かして独立したい
- 自分の商品やサービスを提供したい
- 会社員時代から考えていた事業を始めたい
- 地域のニーズに応えるサービスを提供したい
など、創業する理由は人によって異なります。
しかし、単に「会社を作りたい」というだけでは、具体的な事業計画にはつながりません。
大切なのは、
「誰に」「何を」「どのように提供するのか」
まで具体的に考えることです。
例えば飲食店であれば、
「飲食店を開業する」
だけではなく、
「京都市内で、仕事帰りの30~40代をターゲットに、〇〇を提供する」
というところまで具体化すると、必要な店舗規模や設備、価格設定、広告方法なども考えやすくなります。
創業融資を利用する場合も、創業動機や事業内容を具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
2.必要な資金を洗い出す
次に重要なのが、「開業するためにいくら必要なのか」を把握することです。
開業時には、想像以上にさまざまな費用が発生します。
例えば、
設備資金
- 店舗の内装工事
- 厨房機器
- パソコン
- 車両
- 什器・備品
- 業務用機器
などです。
運転資金
- 家賃
- 人件費
- 仕入代
- 外注費
- 水道光熱費
- 広告宣伝費
- 通信費
- その他の経費
などがあります。
さらに、会社を設立する場合には、登記などのための費用も必要になります。
ここで重要なのは、「開業するためのお金」だけで考えないことです。
事業を始めた直後から、毎月の売上が安定するとは限りません。
そのため、
「開業費用+開業後の運転資金」
という視点で必要資金を考えることが大切です。
日本政策金融公庫の創業計画書でも、設備資金だけでなく運転資金を含めた必要資金と調達方法を整理することになっています。
3.自己資金を確認する
必要資金を整理したら、次に確認したいのが自己資金です。
例えば、
必要資金が1,000万円だった場合、
- 自己資金300万円
- 創業融資700万円
というように、どのように資金を調達するのかを考えます。
自己資金については、単に「口座にいくらあるか」だけではなく、どのように準備してきたお金なのかも整理しておきましょう。
創業融資を検討する場合には、自己資金と借入金のバランスを含めて資金計画を考える必要があります。
また、開業前に設備や広告などにお金を使いすぎると、手元資金が減ってしまいます。
そのため、
「必要なものだから、先に買っておこう」
と考えるのではなく、
「本当に今必要なのか」
「融資を含めた資金計画に問題はないか」
を確認してから支出することが大切です。
4.売上・利益の見通しを立てる
「月に100万円売れそう」
「この地域ならお客様が来てくれそう」
という感覚だけではなく、できるだけ数字に落とし込んでみましょう。
例えば飲食店なら、
客単価 × 客数 × 営業日数
という形で売上を考えることができます。
美容室なら、
客単価 × 1日の来店客数 × 営業日数
などです。
Web制作やコンサルティングなどのサービス業であれば、
単価 × 月間受注件数
という考え方もできます。
さらに、売上だけではなく、
- 仕入
- 家賃
- 人件費
- 広告費
- 通信費
- 外注費
- その他経費
などを差し引き、最終的にどれくらい利益が残るのかを考えます。
日本政策金融公庫の創業計画書でも、売上や売上原価、経費などについて、その数字をどのように計算したのかという根拠を確認する項目があります。
そのため、
「売上は月100万円を予定しています」
だけではなく、
「客単価5,000円×1日8人×25日=月100万円」
というように、根拠まで説明できるようにしておくとよいでしょう。
5.創業融資を利用するか検討する
開業資金がすべて自己資金で用意できる場合を除き、創業融資を利用するかどうかも早めに検討しましょう。
特に重要なのは、「会社を設立してから融資について考える」のではなく、会社設立前から資金調達について考えることです。
創業融資では、創業計画書などを通じて、
- なぜ創業するのか
- どのような事業を行うのか
- これまでどのような経験があるのか
- いくら必要なのか
- どのように資金を調達するのか
- 売上や利益をどのように見込んでいるのか
などを整理します。
日本政策金融公庫では、これから事業を始める方や事業開始後間もない方について、創業計画書を準備するよう案内しています。
そのため、会社設立前から創業計画を作っておくことで、会社設立・設備投資・融資申請などのタイミングを整理しやすくなります。
会社設立前にやっておきたい準備チェックリスト
最後に、これから開業する方が確認しておきたい項目をまとめます。
事業について
□ 何を販売・提供するのか決まっている
□ ターゲットとなる顧客が明確になっている
□ 競合や市場について調べている
□ 自分自身の経験・スキルを整理している
お金について
□ 開業に必要な設備費を把握している
□ 開業後の運転資金を計算している
□ 自己資金がいくらあるか確認している
□ 融資を利用するか検討している
□ 売上・経費・利益の見通しを立てている
会社設立について
□ 会社形態を検討している
□ 商号・所在地などを検討している
□ 資本金を検討している
□ 会社設立後に必要な届出を確認している
法人を設立した場合、法人設立届出書は原則として設立の日以後2か月以内に税務署へ提出する必要があります。
このように、会社設立後にもさまざまな手続きがあります。
会社設立の前に専門家へ相談するメリット
「会社設立は司法書士、融資は金融機関、税務は税理士」と、それぞれ個別に相談する方法もあります。
もちろん、それぞれ専門分野があります。
一方で、創業時は、
会社設立 → 資金調達 → 開業 → 税務・経理
という流れがつながっています。
そのため、創業融資を利用する予定がある場合は、会社を設立する前に一度、税理士などの専門家へ相談しておくと安心です。
例えば、
- 会社設立のタイミング
- 資本金の設定
- 必要資金の整理
- 自己資金と融資のバランス
- 創業計画書
- 開業後の資金繰り
などをまとめて考えることができます。
特に「会社を作ること」が目的になってしまうと、肝心の開業後の資金繰りがおろそかになってしまうことがあります。
会社設立はゴールではありません。
事業を継続していくためのスタート地点です。
だからこそ、設立手続きだけでなく、その後の事業運営まで見据えて準備しておくことが大切です。
まとめ
会社設立前に準備しておきたいことは、次の5つです。
- 事業内容と創業の目的を整理する
- 必要な資金を洗い出す
- 自己資金を確認する
- 売上・利益の見通しを立てる
- 創業融資を利用するか検討する
特に創業融資を利用する場合は、「会社を設立してから考える」のではなく、会社設立前から資金計画を作っておくことが重要です。
開業に必要な資金を整理し、自己資金と融資のバランスを考えたうえで会社設立を進めることで、開業後の資金繰りについても余裕を持って準備できます。
「会社を作りたいけれど、何から始めればいいかわからない」
「創業融資を利用したいけれど、会社設立のタイミングがわからない」
という方は、まず現在の状況を整理するところから始めてみましょう。
京都で会社設立・創業融資をご検討の方へ
京都 創業融資・開業資金サポートでは、会社設立や創業計画、創業融資についてご相談いただけます。
「会社設立と創業融資、どちらを先に進めればいい?」
「開業にいくら必要なのかわからない」
「自分の場合、融資を利用した方がいい?」
といった段階でもご相談いただけます。
創業融資を検討されている方は、ぜひ会社設立前の段階からご相談ください。




