2026.02.15(日)創業融資コラム
会社設立と創業融資を同時に進める際の注意点
会社設立と創業融資は、多くの方が「同じタイミングで進めるもの」と考えていますが、実はこの2つは進め方や順番によって結果が大きく変わります。
特に創業期は資金計画の精度が事業の安定性に直結するため、設立と融資を“セットで戦略的に考えること”が非常に重要です。
ここでは、実務上よくあるケースや失敗例も踏まえながら、より具体的に解説します。
■ なぜ「設立前」から融資を意識すべきなのか
創業融資は、「会社を設立してから申し込むもの」と思われがちですが、実際には設立前から準備を進めることで有利になるケースが多くあります。
理由はシンプルで、金融機関は以下の点を重視するからです。
- 事業の実現性
- 資金計画の整合性
- 自己資金の考え方
- 準備の丁寧さ
設立を急いでしまうと、これらの準備が不十分な状態になりやすく、結果として融資の審査に影響する可能性があります。
一方で、設立前から融資を前提に計画を立てると、
- 必要な資金総額が明確になる
- 設立後の資金不足を防げる
- 無理のないスタートラインを作れる
といったメリットがあります。
■ よくある失敗パターン①
「先に会社を作ってしまった」ケース
これは非常に多いケースです。
- まず会社を設立
- その後に資金が足りないことに気付く
- 慌てて融資相談へ
この流れだと、次のような問題が起きやすくなります。
- 設立費用で自己資金を使ってしまう
- 事業計画が後付けになる
- 開業スケジュールが曖昧になる
金融機関は「計画性」を見ているため、場当たり的な準備はマイナス評価につながることがあります。
■ よくある失敗パターン②
設備投資を先に進めてしまう
例えば、
- 物件契約を先にしてしまう
- 高額な設備を購入してしまう
- 内装工事を進めてしまう
このようなケースでは、資金の使い方のバランスが崩れてしまいます。
特に注意したいのが「自己資金の減りすぎ」です。
創業融資では、
- 自己資金の金額
- 自己資金の貯め方
- 計画的に準備してきたか
といった点も見られるため、使い方の順番がとても重要になります。
■ よくある失敗パターン③
事業計画が“理想論”になってしまう
会社設立を先に進めると、
- とりあえず会社名を決める
- とりあえず事業目的を決める
という流れになりやすく、事業計画の中身が薄くなりがちです。
しかし融資審査では、
- 売上の根拠
- 集客方法
- 競合との差別化
など、かなり具体的な内容が求められます。
設立をゴールにしてしまうと、本来一番重要な「事業設計」が後回しになってしまうのです。
■ 理想的な進め方(おすすめの順序)
実務的におすすめなのは、次の流れです。
① 事業の方向性を固める
- 何をする事業か
- どこで始めるか
- どのくらいの資金が必要か
② 資金計画を作る
- 必要な総額
- 自己資金
- 融資希望額
③ 融資相談を開始する
この段階で専門家に相談することで、計画の精度が一気に上がります。
④ 設立のタイミングを決める
融資スケジュールと合わせて設立することで、資金不足のリスクを減らせます。
■ 個人事業と法人、どちらがいいのか問題
創業時によくある相談が、
「最初から法人にした方がいいですか?」
というものです。
これは業種や計画によって答えが変わりますが、融資という観点では、
- 事業規模
- 必要資金
- 今後の拡大予定
が判断材料になります。
最初から法人にするメリットもありますが、必ずしも全員に適しているわけではありません。
この判断も、融資を含めた全体設計の中で考えることが重要です。
■ 設立と融資は「同時」ではなく「連動」が大事
ポイントは、「同時に進める」ではなく、
計画を連動させて進めることです。
- 設立の目的が明確になる
- 資金の流れが整理される
- 開業後の不安が減る
結果として、スムーズにスタートを切れる可能性が高くなります。
■ 早めの相談が、選択肢を増やす
創業準備の段階では、
- まだ決まっていない
- 具体的じゃない
という状態の方がむしろ自然です。
この段階で相談することで、
- 融資の可能性が見える
- 必要な準備が分かる
- 設立タイミングを調整できる
といった“余裕のある判断”ができるようになります。
設立してから慌てるよりも、設立前から資金を含めた全体設計をしておくことが、結果的に安定したスタートにつながります。


