2025.09.15(月)創業融資コラム
飲食店の開業融資を成功させるポイント

●飲食店開業の最大の壁は資金調達
京都で飲食店を開業したい――そう考えたとき、最初に立ちはだかるのが「資金」の問題です。特に京都の中心地や観光地周辺は物件費が高く、自己資金だけで開業するのは難しいのが現実です。
そこで多くの起業家が頼るのが、日本政策金融公庫や信用金庫などの創業融資です。しかし、ただ申請すれば通るわけではありません。金融機関は「返済できるか」を重視するため、事業計画や自己資金の準備が成功のカギになります。
本コラムでは、金融機関出身の税理士としての視点から、京都で飲食店を開業する際に融資を成功させるポイントをご紹介します。
●飲食店開業に必要な資金の目安
まずは、どれくらいの資金が必要かを把握することが大切です。居抜き物件を使う場合と新規内装を行う場合では、初期費用に大きな差が出ます。
初期費用の主な内訳は以下の通りです。
・保証金・敷金:家賃の数か月分が目安
・内装工事費:物件の状態や業態によって変動
・厨房機器・備品:必要な設備をそろえるための費用
加えて、オープン後の運転資金も重要です。仕入れや人件費、光熱費など、少なくとも半年分の資金を用意しておくと安心です。京都市内では、平均的に300〜500万円程度の自己資金に加え、総開業費は500〜1000万円程度が目安とされています。
●金融機関が重視する審査ポイント
融資を受けるために金融機関が最も重視するのは、「自己資金」「経験」「計画書の具体性」です。
・自己資金の割合:開業資金の3割以上が目安とされます。自己資金が少ないと、返済能力への不安が増します。
・経験やスキル:飲食業での勤務経験や、調理師免許などの資格があると評価が高まります。
・事業計画書の具体性:売上予測や客単価、回転率を具体的に示すことで、現実的な経営計画であることをアピールできます。
●飲食店特有のチェック項目
京都ならではの条件も考慮に入れる必要があります。
・立地条件:観光地や住宅街、駅近かどうかで客層が変わります。立地に応じた業態選びが重要です。
・業態の市場性:居酒屋、カフェ、ラーメン店など、競合状況や需要を把握しましょう。
・差別化要素:ターゲット顧客やコンセプト、特徴的なメニューで他店と差別化できることも融資評価のポイントです。
●融資を受けやすくする工夫
創業融資の審査を通りやすくするためには、準備が大切です。
・実地調査を盛り込む:商圏調査や競合分析を事業計画書に反映させ、実現可能性を示す。
・試作・試食会で信頼性をアピール:メニューの試作や試食会の結果を添付すると、説得力が増します。
・専門家に相談:税理士やコンサルタントなど支援実績のある専門家に相談することで、計画書の完成度も上がります。
●京都で利用できる融資・補助金制度
京都での飲食店開業には、いくつかの制度を活用できます。
・日本政策金融公庫「新創業融資制度」:低金利・無担保で創業資金を借入可能
・京都市の創業支援制度:開業支援補助金など、地域独自の支援制度もあります
・京都府中小企業制度融資:地域の信用保証協会と連携した融資制度
●まとめ
飲食店開業は情熱だけでは成功しません。金融機関は「返済できるか」を最重視するため、自己資金の準備と現実的な計画書が不可欠です。
京都での開業を考えている方は、まず自分の資金計画と業態・立地を整理し、専門家のサポートを受けながら融資申請の準備を進めることをおすすめします。
